憎めない狡さ
とある芸術作品をずっと眺めていた旨を作家さん本人に話したところ『どんなところが良いと思って見ていたの?』と言われ、ぼそぼそと思いつく限り挙げていったところ、『だよねぇ』『分かる!』を連発された。その方の作る物はわずかな条件の揺らぎで変化するため作る本人もなかなか制御が難しく、その偶然の結果としての作品を本人も純粋に楽しんでいるようで、我が物ながら自分の作った物の良さを誰かと共有出来るのは嬉しいのだそう。
しかしなんでしょうね、この言わされた感じは。こういうずるさを受容出来るのはやはりこの人の人間性なんだろう。
偶然性が左右する作品と言えば横浜美術館の蔡國強展はとても良かった。横浜美術館のエントランスすぐの広間で火薬を爆発させて作った作品の水墨画のようでいて筆の走りとは全く違った模様は見ていて飽きなかった。