明後日の素

二日後がもっと暮らしやすいように

受け入れる

なんだか親切な方がいて、特段こちらは何もしていないにも関わらず、物を頂いた。気分が高揚し、感謝の意を込めて握手をしようと手を握ったら「手汗が恥ずかしい。」と仰る。なので「私は意に介さないよ。」という気持ちを込めて、咄嗟に相手の手のひらをこすり、その手を鼻に近づけて嗅いだ。

 

向こうは一瞬驚きの表情を見せたが、すぐに顔の緊張がほぐれ安堵したようだった。社会的に恥ずかしいとされる物も、ベクトルはずれてはいるが更に度合いの大きな事をしてみせればマスクされる。端から見れば私がただ変態行為をしたに過ぎない訳だが、人に安心感を与えるには便利な方法だ。人には共感する能力がある為、辛い事があった、という事を話せば、相手も辛かった話をしてくれる事がある。そして互いに安心する、それと同じ事だ。

 

ただ、もし、変態行為が主眼であったならば、相手にそれを受け入れさせるのに好都合な瞬間でもあり、巧く付け入った形である。そうやってなじませ、おかしな事を当たり前の物にすり替えていく危うさがここにはあるなと感じた。勿論そちらに進む気はさらさらないのだけれど。それで場がスムーズにいくのであれば、なんでもやればいい。